農業の抱える隠れた問題その1
現在農業は大小関わらず様々な問題を抱えている。農協改革、TPP、後継者不足、災害・・・テレビなどでも話題のこれらの問題は、とても大きな問題で注目も集めている。
しかし、農業では大きくはないが、地域や現場でも深刻な問題が確かに存在している。
そのなかには普段農業と関わりのない普段農地や山に行かない街中の人が聞くと驚くようなことも多々あり、小田原と言えども農業を行っていない人と農業を行っている人でかなりのギャップがあることが伺える。
この連載では私の実体験を交え、小田原で実際に起きた農業の問題を紹介していく。
私は普段、毎日農業を行っているわけではなく、また、農業のみで収入を得ているわけではない所謂兼業農家だ。それでも、1羽だけ飼っている鶏に毎日エサをやる関係から畑には必ず毎日足を運んでいる。
詳しい名言は避けるが、畑の場所は街中からも歩いていける距離もあり、比較的標高も低い場所にあるのだが、そんな場所でも、農産物の生産量を減らす大きな問題にぶつかっている。
それは鳥獣害だ。現在小田原を含む2市8町の神奈川県西部地区の農家の間では鳥獣害に悩まされている人が少なくはない。しかし、普段まったく農業と関わっていない人にとって小田原に野生の動物が多く現れ田畑を荒らしているなどまるで実感がわかない問題だろう。
信じられない人は早朝に農道を散歩してみてほしい。何日か続けると、ハクビシンやアライグマ、イノシシなどに出会うことだろう。
具体的な実体験として、昨年は落花生を掘られてしまい、そのほとんどを無駄にしてしまった。今年は祖父が栽培したスイカほとんどをアライグマらしき小動物に破壊されてしまった。
先ほど書いたとおり、我が家では鶏を畑で飼っているのでそちらに被害が起きないか心配がつきない。
農作物だけならまだいい。アライグマやハクビシンならともかく、イノシシは実際に見るとかなりの大きさだ。基本的に野生の鳥獣は人間を見るとすぐさま逃げ出し、襲いかかることはないが、行動パターンを正確に把握できないのが野生動物である。もし、イノシシがパニックになり人間に向かい突っ込んできたら。それが逃げる術をもたない子供だったら・・・いまはまだ鳥獣が人間に直接的な害を与えるという問題が大きく出ていないが、起きてからでは遅いのである。現に、昨年の1月には小田原の市街地にイノシシが現れ全国ネットのテレビのニュースになった。それ以来人里に野生動物が現れるというニュースは大きく出ていないが、一度起きたことはいつ起こってもおかしくはない。
もはや農家だけの問題だけではなく、神奈川西部の住民にとって野生動物はすぐそこに来ている脅威と言っていいだろう。
私たちにできることは、電気柵を使用し、防御を行ったり、罠を設置し1匹1匹捕らえていくなど、とても地道で地味な対策しかできない。しかし、収入にならなく、また、実際に成果が挙がるかわからないこれらの作業に時間と人手を取られることは決して喜ばしいことではない。そして、もし対策が成功したとしてもそれが直接的な収入になるわけではない。行政や政治家には、私たちと同じような対策ではなく、私たち個ではできないもっと大きな観点から根本的な解決策や対策を行っていただけることを期待したい。
農産物への被害は「動物」からの被害ではなく、違う面からの被害が最近特に小田原で増えている。とても悲しい問題だ。次回ではこれらを紹介していきたい。
猛暑が続きますが、猛暑に負けずに、頑張って下さい。